税金まわりの基礎知識

会社の社長が亡くなった時の株式の扱いと事業承継税制  (4-10)

中小企業の社長が亡くなった時、後継者を誰にするのか、事業をどう承継するのかがよく問題になります。
後継者が誰になるのかは決まっても、その後継者に先代が持っていた自社株を移すとなると、その段階で相続税にどう対処するかの問題に直面するのです。

この課題は、相続のなかでも事業承継として考えることになります。

事業承継税制を活用すれば、株式にかかる相続税は100%免除

ここで事業承継税制の要点をまとめておきましょう。
事業承継税制は、2009年に設けられた制度です。
一言でいうと、「中小企業が次世代の後継者に経営をバトンタッチするのであれば、相続税(贈与税を含む、以下同じ)を大幅に減免します」という制度です。

通常、中小企業の事業承継にかかる株式は、取引相場のない株式といっていいでしょう。
その株式を後継者に譲る場合、非上場株式の評価方式によって評価します。
その評価額の株式を一人の相続人が後継者として継承すると、相続の財産額も納税額も億単位の大きな負担になることもあります。
そこで、相続税については従来80%猶予としていたのですが、2018年1月以降、「一定の要件」のもと、その事業承継のすべての株式にかかる株式の相続税を100%猶予する措置がとられました。
この100%猶予の措置は、2018年4月以降、5年以内に承継する計画を提出し、10年以内に実際に承継する事業者が対象で、2018年に改正された「一定の要件」には次のようなものがあります。

  1. 「人」に関わる要件の改正
    従来、その会社の筆頭株主であった先代が、同じように筆頭株主となる後継者に事業を承継することが要件でしたが、2018年1月以降は、先代経営者以外の人からの相続・贈与によって受けた株式にも適用されるようになりました。
    また、後継者についても、複数(3人まで)の同族関係者が適用されることになりました。
  2. 「事業の継続年数」に関わること
    事業の継続年数に関する要件は、従来、「後継者が5年間社長であり続け、かつ株主であり続け、さらに雇用の8割を守ること」でした。
    なお、この「雇用を8割を守ること」という要件は、事業承継税制のスタート当時は毎年判定してましたが、2015年の税制改正により、「5年間の平均」で判定することとなっていました。
    これは、5年間の平均で雇用の8割を守れないなど、要件を満たさなくなった場合は事業承継税制の適用が打ち切られ、「利子をつけて相続税を全納しなさい」ということです。

    ところが、2018年以降は100%猶予になるとともに、「もし、5年平均で8割の雇用を守るという要件を満たせなくても、経営状況の悪化や正当な理由を考慮する(理由報告が必要)」ことになりました。
    猶予の継続のための認定支援機関による指導・助言など、具体的な対応は今後決まっていきますが、要件を満たさなくても、ただちに打ち切りになるわけではない」ことは中小企業にとって朗報といえます。

事業承継税制に詳しい税理士への相談が必要

後継者は事業を承継してから5年間は継続しなくてはいけないという要件があります。

では5年後以降、後継者はどうしたらいいのでしょうか。
社長を辞めて別の人に経営をバトンタッチしても構いませんが、株式は持ち続けないといけません。事業承継にかかる金銭負担はゼロになりますが、最終的にその効果を受けられるのは、その後継者が次の後継者にきちんとバトンタッチした時と考えていいでしょう。

ここに見るように、事業承継税制については、2018年の税制改正においても詳細を詰めていく部分があります。
また、2018年以降は、事業の「売却・M&A」を行った場合にも事業承継の支援策が設けられました。これは、再編・統合を行った際の登録免許税・不動産取得税を軽減する措置です。

このような改正に対して、社長の判断だけでは万全に対応しかねる面も多いでしょう。
そのため、事業承継税制に詳しい税理士に相談しながら対応を進めていくことをお勧めします。

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